あまり気乗りのしない龍玖を説得して2人でルーブル美術館へやってきた。夜の拝観時間が延長される水曜日という事で、かなり混雑していた。照明がとても綺麗だったので、10分間ほど2人でウロウロしていた。
地下でチケットを買い、フランスの彫刻が展示されている展示場へ向かった。その後絵画を見に場所を移動した。
オランダ絵画の展示場へ先ず入った。そしてレンブラントの部屋に来たので、龍玖に彼の作品について説明を始めた。光と影を使って表現した作家、と言う事で有名だという事、一つの主題にこだわらず、宗教画や寓意を含んだもの、風景画、自画像、人物像などを描いた。
ルーブル美術館では見なかったけれど、レンブラントはエッチングにも精通していた。画家として活躍し始めた頃から印刷機を所有していたので、エングレービングだけでなく、版を腐蝕をするエッチングの手法もよく使っていた。初めの頃は自分で印刷もしていたらしい。新しい手法を色々試していて、ドライポイントで版に直接描画し、滲んだような線を表現したり、版から余分なインクを取り除く際にわざと残してみたり、和紙に印刷してみたりもしていたそうである。そんなわけで、彼のエッチングは絵画と主題もイメージも共通しているので、変化に富んでいて面白いのである。
次にルーベンスの部屋に入った。彼の絵画の作風について説明をした。彼も色々な主題について絵を描いている。
龍玖はつまらなそうなので、興味を示してくれるのでは、と思い、よせば良いのに、フランダースの犬の話を始めてしまった。主人公がルーベンスの宗教画を見たいと熱望していたにも関わらず、お金がないため叶わなかったという話をした。最後に神に赦しを乞いながら、絵を覆っていたカーテンを開けて作品を眺めたという下りで、なんて無慈悲な話なんだろう、と泣いてしまい、涙を流しながらフロアーを歩き廻った。
その時、後15分で閉館するというアナウンスが入った。モナリザをもう一度見たかった、と龍玖に言われたので、では最後に見に行きましょう、と全力で階段を駆け上がり早足でレオナルド・ダ・ヴィンチの絵が展示されているフロアーへ向かった。閉館5分前に到着した。モナリザの絵の前には40人位しかおらず、結構ゆっくり見る事が出来た。
その後警備員の人たちに促されて全員で出口へと向かった。アメリカ人の学生の団体がいて賑やかだった。
美術館を出た後、遅くなったのですぐアパートメントへ戻った。走り廻ったので疲れてしまいすぐに眠った。