龍玖の友人のK君はほら吹きである。龍玖がアイスランドの話を彼としたら「ぼく、行ったよ。」と言われた。龍玖は２年くらいそのまま信じて、羨ましく思っていた。あこがれの場所についてクラス会で発表する機会があったのだが、龍玖は「K君の話を聞いてからは、アイスランドです。」と言った。K君はとてもあせり、「実は行ったことはありません。」とぼそっと言ったそうである。ある時休み時間に、龍玖とK君、そして数人のクラスメイトとアフリカの食用にされる幼虫の話をしていた。K君は「あー、アフリカへ言った時に食べさされてしまったよ。」と言った。
しかし彼の周りも５年生辺りでようやく気付き始めたらしい。龍玖と仲良しの男の子２人がK君に「ねえ、聞いた？マイケル・ジャクソンが今週末日本へ来て、阿波踊りを踊るそうだよ。」と言った。K君は「うんうん、知ってる。」と乗って来た。そこで龍玖が「マイケル・ジャクソンは５年近く前に亡くなっているよ。」と言ったら、ごにょごにょとしていたそうである。つかみ所のない少年だが、龍玖にとって大事に思う友人のひとりである。
