lulu_batailleの日記

日々起こった事、思った事を記していきます。

私の居場所

ピアノレッスンの帰り、北山堀川の交差点で信号待ちをしていた。交差点そばには以前料理教室の先生が借りておられた家がある。いつもは閉まっているカーテンが開いていて、家の中が少し見えた。そちらで開かれていた展覧会にS子さんのお誘いで行った事があるのだが、その当時とは随分雰囲気が変わっていた。
本当はその家にキッチンを作って、自宅で開いている料理教室をされる予定だったと聞いていた。しかしオーナーの方が家を売りたい、ということで明け渡したそうである。先生のアトリエ時代も色々手を加えておられたが、そのまま明け渡したのだろう。今お住まいの家とオフィスも借家だと聞いている。もちろんあえてそうされているのだが、建築士のご主人と最近生まれたご長男とともに、庭に美しい草花を植え、家の中を設えて美しく暮らしておられる。しかし、その住みこなしている家を所有しようとしない。ストイックな考え方だな、と思っていた。先生の場合、先生自身と家族が暮らす場所が自分の居場所なのだろう。
私は子どもの時から、母に私のいるべき場所はこの家ではない、と言われて育った。アメリカへ留学し冬休みに帰って来ると、物置となった部屋で寝泊まりしていた。ここは私の家じゃないから、と、何も思わなかった。アメリカで家を追い出された時も、私が家賃を払っていたにもかかわらず「ここはおまえの家じゃない。」と言われた。追い出されたのは不幸なことだったはずだけど、正直なところそんなにショックではなかった。
家人にもサンフランシスコにいた時「追い出して龍玖と二度と会えないようにしてやる。」と脅されたことがある。あまり怒りも湧かず、やはりここも私の居場所じゃないんだ、と他人事のように思っていた。
とこのような事をつらつらと考えながら家に帰って来た。
今一緒に暮らす家族もいずれいなくなり、彼等が将来どう思うか知らないが、私にはここが私の家であり、私の居場所である。そう思えるというか、思っていいことがとても嬉しい。