lulu_batailleの日記

日々起こった事、思った事を記していきます。

Librarie Astarte

店主が急逝されたことをロンドンで知った。
閉店に向けてセールをされているということで、帰国に間に合うかやきもきしていた。こちらへ戻って来てからも、なかなか時間がとれずにいたが、昨日雑用の合間に無理やり時間を作り来訪した。
数年ぶりだったので、やはり道に迷った。近所の駐車場にいた男性に
「書店を探しているのですが。」と言うと、
アスタルテ書房はすぐそこですよ。」と教えてくれた。
ようやくたどり着いた店のドアをドキドキしながら開けた。中の様子は殆ど変わっていなかった。1時間近くかけて店の中をじっくり見て廻った。店主の方がいた時は緊張してそんなに長居することは出来なかった。
以前から欲しかった山下清澄の銅版画全作品集を見つけた。お支払いを済ませた後、奥様にいつ頃完全閉店をするのか訊ねた。まだ目処はたっていない、とのことだった。それからご主人の病気の経過を話してくれた。
「ここは入りにくい雰囲気だったでしょう。」と訊かれたので、三条大橋そばのお店は開放的だったのに、随分雰囲気が変わってしまって驚いた、という話をした。あのお店を知る人はもうあまりいないそうで、驚いておられた。もう30年近く前のことなので、うろ覚えだけれど店の中の雰囲気やソファーや書斎机の配置を説明した。現在の店内に飾ってある、澁澤龍彦三条大橋そばのお店のソファーに座っている写真を一緒に眺めながら、その頃の話をした。とても懐かしがっておられた。
どのような形でもいいからお店は残してほしい、という要望がたくさんあるそうである。私が次に来られるのは10月末なのだが、まだいらっしゃいますか、と訊ねると、「もしかしたら。」とおっしゃっていた。