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lulu_batailleの日記

日々起こった事、思った事を記していきます。

An old sugar pot

Mさんのモンパルナスのアパートメントには、古いものはあまり置いていない。コップもグラスも趣味の良い、量産店で購入されたものが備え付けられている。食器棚に真新しい食器に混じって、古そうな銀製のシュガーポットがそっと置かれていた。上品な装飾が施されていて、かなりの年代物だと分かった。自己主張をしているという様子ではなく、他の物たちに寄り添う感じでそこに存在していた。なんとなく気になってアパートメントで時間を過ごす度にそのシュガーポットを眺めていた。そうしている内に、いつしか自分もあんなシュガーポットが欲しい、と思う様になっていた。

先日Yちゃんと話している時「へうげもの」に登場する茶人の事を話題に出した。主人公がその茶人の所有する年季の入った茶道具を見て羨ましがる、と言う話をした。次にYちゃんがR君を妊娠していた頃の事を話してくれた。Yちゃんが妊娠9ヶ月の頃、出産に向けて家の中を整理していると大きめのダンボール箱を見つけた。中を開けてみるとMさんの家族が使っていた銀食器が入っていた。それらを包んでいた布が湿っていたので、銀食器はあまり良い状態ではなかったらしい。それでYちゃんはその変色した銀食器を磨き始めた。それを見たMさんが「フランスでは銀食器を妊娠中に磨くと産気づくと言われているから気をつけて。」と言った。それを聞いて「まさか。」と思っていたYちゃんだったが、その日の夜、破水しR君が生まれたのだそうである。

その銀食器の話を聞いて、「もしかしてあのシュガーポットはその箱に入っていたの。」と訊ねたら「そう、あれだったら邪魔にはならないかな、と思ったから。」とYちゃんが答えた。やはりそこにあるべくしてあった物だった。

今日は北野天満宮で市が立つ日だったので、お昼前に少しだけ行ってみる事にした。奥の方でシュガーポットらしきものを見つけた。Mさんのものとは違い、シンプルな造りだったが、自分にはこちらの方が合っているような気がした。そしてもう一つ、切手入れを見つけたので、店番をしていたお兄さんと値段交渉をしてその2つを購入した。お兄さんは切手入れの方を「気に入っていたのにな。」と残念そうに言っていた。用途については知らなかったみたいで、切手を入れるための箱と聞いて驚いていた。

これらはアトリエの机の上の、細々とした物たちの中に置かれている。

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