lulu_batailleの日記

日々起こった事、思った事を記していきます。

旅の画帳

 先週の土曜日、池大雅展を観に行った。

瑞麗さんとLちゃんは早足で会場を歩き抜け、玄関やロビーでお互いのsnapshotを撮影していた。2人は早々と居なくなったので、ピアニストのYさんと私はじっくり観賞して行った。

池大雅は書の方でも秀でて居た作家で、書も数多く展示されて居たし、自分の絵に自賛の画評が入って居た。そして指や爪を使って描いた絵もいくつか展示されて居た。多彩な筆使いと画調の幅の広さに感嘆した。

山水画などの風景画の構図は今まで見た日本画とはかなり違って居た。何が違うのかまだうまく言えないけれど、ユニークという事だけは判った。中国の山水図の影響を受けて居た時代の絵でも、独特の構図の取り方で描かれていた。

大胆さと同時にどの絵にもユーモアが感じられた。描かれた人物の表情がとても豊かなので、眺めていると微笑んでしまうのである。特に折り重なるようにくっついている仙人らしき人たちや、奥さんを描いたイラストのような絵が可愛らしかった。

一番印象に残っている絵は「五百羅漢図」だった。かなりの大作でそして構図が素晴らしく大胆だった。描かれている羅漢たちの表情はそれぞれ違って居て、そして本当に楽しそうである。幾人かは真面目に会議をして居たり、また孤高の羅漢は瞑想に耽っている。ある羅漢たちは象やライオンらしき動物と戯れて居たりして、ずっと眺めて居ても飽きないな、と思った。一名だけ三面六臂の人物が居て興味を惹かれた。

旅先で描かれたスケッチも帰宅し描いた画と並行して展示されて居た。そして旅先でつけて居た家計簿のようなものもあり、日付と何に幾ら支払ったのか、という事が記されて居て面白かった。草書体なので知識のない自分には難しかったけれど、「お賽銭」「そば」「うどん」と言う字だけ読み取る事が出来たのでちょっと嬉しかった。

写真撮影に飽きた2人が呼びに来るまで、結局2時間位掛けて観賞していた。京都国立博物館には数年前に琳派の展覧会へやはりYさんと一緒に観に来た事がある。この時に観た絵の話をしたが、今回のように印象深いものは少なかった、と言う点で同意した。Yさんからお誘いして貰わなければ行く事はなかったのでとても感謝している。