Nお姉さんのグループ展を新幹線に乗る前に観に行った。
その画廊は数年前にも訪れた事がある。Nお姉さんの作品は入って直ぐの良い場所に展示されていた。
そしてその近くに、5年前に亡くなられた、ある作家の秋桜の絵が飾られていた。
衝撃を受けた。あまりの美しさにずっと見惚れていた。
ロットリングと思われる非常に細い線のみで描かれている。そのコンポジションや線の美しさもそうなのだけど、それらの線が一つも交わっていない、と言う但し書きに驚いた。
まるで光の中で漂い、又は舞っている様な印象受けた。そして何度も眺め直しているうちに、醒ケ井の梅花藻を思い出した。
澄んだ緩やかな水の中で咲いている梅花藻の写真を、Androidの携帯の待ち受けにしている。
画廊のオーナーにこの作家の画集はありますか、と訊ねた。
「一つだけ出ています。」
と言って、その冊子を出して見せてくれた。
「ずいぶん昔に絶版になっているけれど、古本できっと見つかりますよ。」
と言われた。
先程アマゾンで古本として売られていたので、購入した。
その作家はengravingの作品も多数残している。画廊で扱っている、それらの作品も見せて貰った。画廊で飾られているドローイングの作品は彼の銅版画よりも圧倒的に良かった。ドローイングの奥深さを改めて知り、線描写について考え直す良いきっかけになった。