火曜日は馬老師が来る日である。
今日は龍玖が疲れていたせいか集中力がなく、老師が苦労されていた。
「真面目にしないと休憩時間にDSをさせてあげない。」
と言われて龍玖は泣き出してしまった。しかし泣いてすっきりしたのか、後は集中して勉強してくれた。
随分前に「水餃」を作る約束をしていたので、今日の夕食用に作った分を少し老師に振る舞った。中国で食べる水餃のようだ、と言ってもらえたので、お世辞でも嬉しかった。
老師に李白の「静夜思」を今度朗読して欲しい、と頼んでみた。彼はあの詩を読むと高校時代を思い出すそうである。とにかく解釈が難しい詩なので、試験に頻繁に出るらしい。私は広東語の先生の解釈を聴いてこの詩が好きになった、と言うと、この歌にはこれが正しい、という読み方はないと言われた。
質問があるのですが、と言われたので、なんでもどうぞ、と言ったら「侘び寂び」とは何ですか、と訊かれた。中日辞典には載っていないし、日本語学校の先生にも訊ねたのだけれど「よく分からない。」と言われたらしい。
例を出して説明してみた。暫く考えてから、概念は理解したけれど、それを悟るにはまだ時間がかかりますね、と老師は言っていた。