lulu_batailleの日記

日々起こった事、思った事を記していきます。

"Amour"


昨日言った通りに映画を観に行った。
京都シネマのあるcocon烏丸へ地下鉄で向かった。時間は余裕だったはずなのに、出口を間違えてうろうろしていたら5分ほど遅れてしまった。「途中入場不可」というサインが貼ってあったので、あせって尋ねてみたら係の人が入れてくれる、と言う事だった。席は結構埋まっていて、一番前にしか座れなかった。遠視なのに大丈夫か、と思ったが、スクリーンがあまり大きくなかったので問題無かった。入場して程なく映画が始まった。

2時間7分という長いフィルムだったが、全く退屈しなかった。過剰な表現を使ったシーンが無く、演技とは思えないほどリアリティーがあった。ダイニングテーブルに置かれたコップやワインボトルなどに、時間の経過や、主人公の心の動きが表現されていた。

鳩が出て来た時、タルコフスキーの「ノスタルジア」を思い出した。その映画でも鳩が出て来る。タルコフスキーは敬虔なクリスチャンだったので、鳩はキリスト教の象徴的な存在として使われていた。この映画では宗教的な意味合いはあまりないのかもしれないが、とても印象的なシーンだった。

この映画では居間にも鳩の線描画が飾られていたりして表現が細やかだった。私は2度目に出て来た鳩と主人公の関わり方がとても良かった。孤独の中での思いがけない来訪者は心の救いだったと思う。彼は次のシーンで鳩との事を(誰に対してかは明らかなにされない)ひたすら紙切れに書き認めていた。

思い切り感情移入するわけでもなく、かと言って突き放して観ていたわけでもなく、ずっとドキュメンタリーを観ているような気持ちだった。

そして救いのあるエンディングに安堵した。