高桐院は再来年まで改修のため拝観謝絶となっていた。
丁度紅葉の絨毯が観られる時期だったのでとても残念だった。どこか一つだけ拝観しよう、と思って大徳寺内をうろうろしていたら、一際鮮やかに紅葉している低い樹があった。写真を撮っていたら、ご夫婦が通りかかり、やはりその色鮮やかな木に目を奪われた様で、足を留めて眺め入っていた。植物に詳しそうに見受けられた女性にその樹の名前を尋ねたら「サラサドウダンですよ。山に入ると良く見られます。だけどこんなに色鮮やかなのはそんなに見かけませんね。」と答えられた。朱色というか唐紅色と表現した方が正しいような色だった。
限定公開されている興臨院に紅葉が今年1番の見頃、と言うサインが張られていたので、拝観することにした。
重要文化財である唐門の前の紅葉がとても綺麗だった。
本堂は華美な装飾はなく、素朴で落ち着いた雰囲気だった。狩野派の絵の襖や衝立が沢山入っていたそうなのだけど、廃仏毀釈により、流失した後行方知らずとなっているとのこと。非常に残念である。
建物の写真撮影は禁じられていたので、お庭だけ撮影した。お茶室はユニークな設えとなっていて、簡素な中に様々な工夫か施されていた。大徳寺全体には茶室が全部で47軒あるそうで、千利休の月命日である毎月28日には、沢山の茶室でお茶会が催される。
こちらにある茶室はこの涵虚亭のみである。
お庭には貝多羅樹と言う木が植えられている。この木の葉は肉厚で丈夫なので、古代インドでは竹筆で経文を書写する時に用いられていたそうである。その事から「葉書」と言う言葉が生まれた、とガイドさんがおっしゃっていた。
一緒に廻っていたご夫婦が大徳寺の歴史について精通されていて、お話しを伺う事が出来て勉強になった。
ガイドさんとお二人にお礼を述べてから興臨院を出て帰途に着いた。