lulu_batailleの日記

日々起こった事、思った事を記していきます。

あべのハルカス美術館へ行く

大阪で所用があり、2時間ほど時間があったのでピカソ展を観に行った。
彼の初期の作品、青の時代、薔薇の時代そしてキュビズムの小さめの作品を中心に展示されていた。よく目にする青の時代の作品「スープ」「海辺の貧しい人々」「自画像」があった。私は青の時代から薔薇の時代へと移行する頃に描かれたという「扇子を持つ女」が好きだった。
素描や絵画の他に、ピカソが手っ取り早くお金を稼ぐために制作した、というIntaglioの作品も展示されていた。それらの多くはドライポイント(腐蝕の工程を踏まず、先の尖ったニードルやビューラーで銅、亜鉛、鋼版に直接描画する技法)で制作されていて、これらが凄く良かった。近くで見るといい加減に傷つけたような線が、少し離れると柔らかな陰影になり画面に溶け込んでいる。さすが、と感心してしまった。
サルタンバンク・シリーズの中で有名な「貧しき食事」はエッチングとしてはかなり大きな作品である。当時亜鉛版は高価だったため、刷り師の友人が他の作家が使用した版を磨き直し、ピカソに譲り渡したそうである。非常に緻密に描画されていて、そのデッサン力に感嘆してしまった。
キュビズム時代はどれも同じに見えるので、あまり興味が湧かず早足で通り抜けた。エッチングもあったけれど、特筆するような作品ではなかった。
ピカソは初期にパステルをよく使って制作している。これはドガの影響によるものらしい。パステルとグァッシュを併用した道化師の絵が展示されていた。2つの異なる画材が上手く使い分けられていて、特にオレンジ色のパステルで描かれた部分が強く印象に残っている。
展示数はあまり多くなく、私には丁度良かった。ピカソはやっぱりすごい、と再確認しながら次の所用へ向かった。