着いた時には午後11時半を廻っていた。
カウンター席にはSさんとご主人のSさん、そして友人の方々が座っていた。Yちゃんはテーブル席へ、私はカウンターの一番端に座った。Sさんに今まで起こった事を簡単に話した。瑞麗さんが入学した学校については「よく入れる事が出来たわね。」と感心された。Sさんは相変わらずたくさんのプロジェクトを抱えて忙しそうだった。凄まじい人脈を持つ彼女がどのプロジェクトで誰が関わっているかを聞くのが楽しかった。
店の主人のKさんが、紫式部のお墓の横にある小さなお墓に入っている人物の話をしていた。小野篁という平安時代前期の公卿だった人で、後に「冥界の役人」として有名になった人物とのこと。地獄へ落ちるはずだった紫式部を救った、という言い伝えが残っている、とKさんがおっしゃっていた。小野篁は歌人としても知られていて、参議篁という名前で、歌が小倉百人一首に収められている。
Yちゃんはテーブル席にずっといた。午前12時半にお開きになり、私たちは家に戻った。