瑞麗さんたちは朝無事に日本へ旅立っていった。
思った通り荷造りに手間取った。瑞麗さんの専用枕やうさぎとくまのぬいぐるみはここで使っていた買い物バッグに入れ、手荷物として持たせる事にした。2人の荷物を運ぶのを手伝い、見送ってからアパートメントへ戻った。
お昼用にサンドウィッチを作り、出かける用意をした。図書館に到着した時には午前11時半を回っていた。明日の予約を入れてから会計へ行き、5ユーロ支払った。それから荷物をロッカーへ仕舞い、iPhoneとコンピューター、ノート、筆記用具などを予め入っているクリアーボックスへ移した。ロッカーの鍵を閉め、メインライブラリーへと向かった。中に入り先ず司書の人に検索の仕方を簡単に教えて貰った。私のIDカードを渡し、代わりに自分が使う本を閲覧するためのデスクの番号札を貰った。
英語で検索できると聞いていたが分からず、フランス語で辞書を引きながら検索を始めた。やはりフランス語のサイトは使い方が難しく、ものすごく苦労した。10冊分の必要と思われる情報を書いたリクエストカードを作り提出した。一番見たかったDürer の"rhinocéros"は、リファレンスルームで火曜日と木曜日の午前中のみしか観覧出来ない、とあった。その頃には午後1時を過ぎていたので諦めるしかなかった。Dürer のエッチング画集が1冊だけ閲覧可能、と言われた。司書の女性が「これはリクエストしておいてあげるから、引き続き検索していいわよ。」と言ってくれたので、またコンピューターへ戻った。今度はリクエストカードを5枚作り提出した。次はValetine HugoというVictor Hugoのひ孫の配偶者だった女性とその親族の作品集はある、と言われたのでリクエストしてもらった。Dürer は1時間後、もう一つは15分後にあなたのデスクに届くから待っていなさい。」と言われたので、再入場の際に必要になるIDカードを返して貰い図書室を出た。休憩室で持参したサンドウィッチとお茶を飲みながらNさんと少しだけチャットをした。Nさんに「本をリクエスト出来るまで1時間半かかった。」と言ったら、「フランス人でも苦労するシステムだから、それだけ時間がかかってもおかしくない。」と言われた。
荷物をロッカーへ戻してから、自分の席へと向かった。するとものすごく大きな本らしきものが閲覧用のデスクに置いてあった。想像を遥かに超える大きさだったのでビックリしてしまった。
スケールが分かりやすいように、ペンケースを並べてみた。搬入・搬出に時間がかかるはずだ、と合点がいった。そのまま平坦なところへ置き、画集を見始めた。すると閲覧コーナー担当の司書の男性が来て「こちらのクッションがあるところで読んでください。」と移動を促されたので、それに従った。
Valentine Hugoの作品は、シュールレアリズムどっぷりの乙女チックな作風の作品が多い。恐らく刷り師の手によるものだと思われるが印刷は丁寧にされていた。
詩人による、ランボー賛美の詩とコラボした作品があった。
持参した虫眼鏡を使って鑑賞していたら、私にとって今日の目玉であるDürer のエッチング画集が届いた。こちらはもっと大きかった。
この本が出版されたのは1515年である。約500年前の本なんだ、と思うと手が震えた。