瑞麗さんは珍しく緊張していた。少し踊りを間違えてしまい、ひどく思いつめた表情をして踊りを終えていた。私の両親のところへ行き、私の父が褒めてくれたのを聞いて、漸く安堵した表情になった。
発表会は大盛況だった。邦舞の部の子達はきちんと浴衣を身につけ、薄くお化粧をして貰いとても嬉しそうだった。今回の発表会には瑞麗さんの先生の兄弟弟子さんや、大学生の生徒さんが踊っていて、瑞麗さんは最年少だった。お姉さんの中には体験授業を受けて日本舞踊を習い始めた人もいる。中学三年生のお姉さんのお母さんに着物のたたみ方を教えてもらった。漸く完璧にたためる様になり、凄く嬉しかった。
踊りの先生はしばらく夏休みに入る。今年はドイツで公演されるそうである。そんなわけで、瑞麗さんの日本舞踊は暫し休憩である。