予め瑞麗さんにワークショップの事を話していたのだけど、全然乗り気ではなかった。プリプリ怒りながら自転車で岡崎へ向かった。聖護院辺りで一旦どこかへ消えてしまったりして、15分遅れて京都市美術館に到着した。
美術館の建物はフェンスでぐるっと周囲を囲まれていた。係りの方が私たちを待っていて、そのまま倉庫室へと案内してもらった。他の人たちは倉庫室のある建物のfield tripののち、スライドでプロジェクトの説明を受けていた。
美術館の地下には、大きな絵画を仕舞うスペースがあった。美術作品を保存するのに最も適しているという環境が作られていた。気温は22度、湿度は55%に保たれていて、それを一存では変えることが出来ないとのこと。外に面している壁は二重になっており、内壁との間には1メートルほどのスペースが空いている。空気の層を作り、外気の温度の影響を少しでも抑えるためだそうである。
今日のワークショップを企画された作家さんは、その内壁の一つの壁に貼られていた木の板を剥がし、台座を作れるように適度な大きさに切りそろえられていた。基本の椅子はすでに出来上がっていた。それに台座をつけ、横に板を貼ったり色を塗ったりして自分たちの台座を作り、それと共に倉庫室で写真を撮影する、というのが今回のプロジェクトの概要だった。
壁に備え付けられた電話や、照明などの設備を見ると、月日を感じさせられた。窓ももちろんないけれど、それでも木で囲まれたスペースはどこか温かみがあり、ここに住みたいと思えるほどだった。
台座を瑞麗さんと相談しながら作って行った。
それなりに2人とも満足のいく仕上がりになった。倉庫のあちこちに椅子を移動しては撮影をした。
最後に参加者全員で記念撮影をしてワークショップはお開きになった。台座を自転車にくくりつけられるように紐を頂いた。作家さんと学芸員さん達は、とても気さくに話しかけ、親切にしてくだった。
瑞麗さんも上機嫌で金槌を振るっていた。貴重な体験をした午後だった。