先週のことになるが、忘れないうちに2日目の事を記しておこうと思う。
2日目、ブリブリも私も疲れていたので、なんとなく朝もたもたしてしまう。ブリブリが龍玖のお弁当を作り、私をスタジオを送ったついでに出かける用意をしていたのだが、龍玖がお弁当箱をさかさまに開けてしまい、中身が全部床に落ちてしまった。龍玖はすごく申し訳なさそうな顔をして私とブリブリが掃除するのを見ていた。11時開始に5分ほど遅れてスタジオへ行ったが、日曜日は出足が遅いらしく、お客さんもまばらで、みんなのんびりとしていた。
11時半頃麗子さん、クリスさん、アレックス君が来てくれる。日本からのお土産の秋田の地酒、煎餅、麗子さん特製アールグレイのクッキー、そしてマリアージュ・フレール発行の紅茶の本を頂いた。紅茶のクッキーはとてもおいしかった。
1時頃まで殆ど私のスタジオを訪れる人はなく、お腹が空いてきたので出入り口付近のレセプションに置いてある食べ物を拝借しに行く。同じようなスタジオメイトたちが何人かいて、今日はひまだね、とか雑談をしていた。現代的な作品を作るジェームス君とはOpen Studioの前日に話すようになった。彼は2か月前からAEでスペースを借りているそうだ。昨日彼は私のスタジオに来て、作品についてとてもいいコメントをくれる。人通りがあまりない私のスタジオへも来てくれるようお客さんに言ってくれている、と言っていた。とても嬉しかった。近所のスタジオメイトのスーザンさんはSnoodのコンピューターゲームを持参していて、人足が途絶えるとピコピコとやっていた。いつも日曜日は暇だ、とOpen Studioのベテランである彼女は眠そうにしていた。
1時半頃ブリブリ龍玖と一緒に点心のテイクアウトを持って来てくれる。お腹があまりに空いていたため、張り紙をして近所のマクドナルドへ行こうとしていた矢先だったので、有り難く頂く。次いで私のアクアチントボックスを作ってくれたアイルランド人のジョンさんが来た。彼が帰った後、ヤンちゃんとジムさんがやって来た。彼等が去った後、ヤンちゃんから携帯に電話があり、くらげを買いたいとのこと。喜んで承ける。2時頃リリちゃん、マイクさん、アンドレ君、ブルーノ君一家が来てくれる。30分ほどいて彼女たちは別のOpen Studioへ行き、龍玖とブリブリは公園へと出かけて行った。
4時頃5歳の男の子を連れた女性2人が4.5×6インチの作品をお買い上げ。これは村上春樹の「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」から取ったテーマの作品第2弾で、Open Stuidoの2日前から制作に取りかかったばかり作品だった。版が思っていたより深く腐食されてしまい、色でなんとかならないかと前日にあれこれ試し刷りしたものの一つをフレームにいれてもらったのである。なので1つしかエディションがない作品であるが、愛着も湧く前に私の手元を離れてしまった。さらに作品を手渡した後で写真も撮っていなかったことに気付いた。この作品は新しく版を作って続けて制作していきたいと思っている。
何人かのスタジオメイトが遊びに来てくれる。すっかりワインで真っ赤になった人もいた。
5時頃男性が私のスタジオに入ってきて作品を買いたいと言われる。どれか、と尋ねるとギャラリーの方へ出て、くらげを指差した。男性はエッチングの事をご存じらしく、作品を梱包している間、彼は友人たちに行程を説明していた。
5時半頃ブリブリがら電話があり、作品が全部で5個売れたことを告げる。すごく驚いていた。彼は6時前に迎えに来てくれ、少し2人でスタジオメイトたちの作品を見てからギャラリーの電気を消し外へ出た。
お祝いに「Sushi Groove」というところでお寿司を食べる。生物はいけないのだけど、まあいいかとたくさん食べてしまった。雰囲気はトレンディでアンビェントな音楽が流れているようなお店だが、寿司を握る人たちはそんなのとは無縁のような職人気質の人たちだった。寿司の味もかなり良かった。とてもおいしく夕食を頂いた。
もうけはフレーム代をひくと725ドルであった。初めて作品で稼いだお金である。一部は龍玖の学資貯金に充て、あとは生活費になっている。たくさんの人たちに支えられ、迷惑をかけてやってきたが、本当に充実した時間を過ごした。2番目の子が生まれてからもなんとか続けていけたら、と思う。