2016-06-18 桐紋の雪 「等伯」を全部読んでしまった。長谷川等伯が武士に生まれ11歳まで育ったということが話の要になっていた。彼の絵師としての内面の成長や、彼の審美眼がどう変化していったかを読みたかったけれど、そういう趣旨の小説ではなかった。 余白で遊ぶ余地はないほど流れの良い歴史小説(かなり創作された部分はあるだろうけれど)として読み終えた。 「花鳥の夢」の中での等伯の「山水図襖」が描かれる経緯がとても好きである。現実は違ったのだろうけれど、あんな風に絵を描くことが出来た絵師として覚えていたい。