瑞麗さんのパスポートの有効期限は切れたため、再発行の申請をしに行った。私まで一緒に行かなければいけなかった理由がある。彼女は日本で生まれていて、家人も当時は国籍を取得していなかった。戸籍謄本を翻訳者に頼んで翻訳したものを提出したら、あちらの誤解を招く記述があり、DNA検査までして親子関係を証明し、龍玖と瑞麗さんはアメリカ国籍を取得した経緯がある。
大阪の領事館に問い合わせたら、こういったケースは初めてなので、詳しい話を訊きたい、と言われたらしい。
時間通りにオフィスに入った。結局２時間くらいかかったが、なんとか経緯を説明し理解してもらうことが出来た。６週間後に新しいパスポートが送付されるらしい。龍玖のパスポートも切れているので、同じ事をしなければいけないが、次は領事館側も理解しているので手続きはスムースに運ばれるだろう、と言われた。
携帯電話もコンピューターも持ち込み禁止だった。待合室で瑞麗さんとゲームをしたり、本を読んだりして過ごした。待合室で延々と流れているミリタリーチャンネルを観て、この国に２０年間暮らしていたのに、もうあまり実感出来ない事に気付いた。だけどアメリカ人の話す英語は本当に聞き取りやすいので好きである。
