lulu_batailleの日記

日々起こった事、思った事を記していきます。

未成年

ドストエフスキーの小説に「未成年」という作品がある。なぜか長い間文庫本が絶版になっていた。
まだ学生の頃、日本に帰る度探していたが見つからずにいた。ある日、サンフランシスコに当時あった、小さな日本人経営の本屋さんにふらっと立ち寄ったことがあった。奥にある本棚に無造作に並べられた、売れ残った文庫本の中に未成年の上下巻を見つけた時は狂喜してしまった。日本と違い、あちらでは本は買い取り式になっているので、ずっと残っていたみたいである。
読んでみて、他のドストエフスキーの作品とは違う、未熟な主人公に戸惑った。タイトルに忠実といえばそうなのだろうけど、あまり魂の成長がみられないのである。
カラマーゾフの兄弟に比べるとなにか物足りない、腑に落ちないところがある作品は珍しい、ということで印象に残っている。
ちなみに今は文庫本が復刻されている。