瑞麗さんは夕食後、幼なじみの家へサッカーの試合を観に行ったまま帰って来ない。
午前11時頃、頭痛がする、とテキストが来た。
勉強をしに京都へ戻って来ているはずなのに、と少し怒っている。
龍玖と昨日、今日と話した。
彼と彼のお父さん、そしてお祖父さんは同じJohnというFirst nameを持っている。
一族の長男にはその名前をFirst nameをつける、という決まりごとがあるから、らしい。
龍玖の曽祖父にあたる人は次男だったのでJohnという名前を貰えなかった。それが悔しくて、自分の子どもにJohnとつけ、その習慣が始まった、と聞いた。
そのことに龍玖は憤慨している。
どこへ行っても"John"と呼ばれるし、公式な書類ではRikuを省略されることも多々ある。それがすごく嫌なので、FirstとMiddleをひっくり返すか、RikuをFirstにして全く違うMiddle nameをつけたい、とのことだった。
勿論、自分の子どもにはその名前はつけない、と断言していた。
聖典に出てくる名前で何かいいのはないか、と一緒に探した。
ガブリエル、ミカエル、ラファエロ、ルカなど、メジャーな名前は嫌らしい。
龍玖が気に入るような名前は天使のリストからは見つからなかった。
瑞麗さんのMiddle nameであるElizabethは、ヘブライ語経典に出てくるElishevaが変化したらしい。
龍玖も好きらしく「瑞麗が羨ましい。」と言っている。
瑞麗さんも気に入っているので、推して良かった、と心から思う。