前回東京に行った時、3つの美術館/博物館へ行った。
厳密には4つなのだけど、東京新美術館へは建物を観に行っただけで、展覧会は観なかった。
頭の中で情報を一度に整理することが難しくなり、美術館のはしごはもう出来なくなってしまった。
印刷博物館へはずっと行きそびれていた。
前日にウェブサイトを見ている時、活版印刷の工房の見学ツアーの記事が目に入った。空きががあったので申し込んだ。
アメリカに住んでいた時、ニューヨークへ行く度、"Printed Matter Inc."という非営利団体の印刷工場へ訪れていた。そこは活版やオフセット、デジタルなど様々な印刷をおこなっており、クラスがあったり、ギャラリーや、自作の作品を売ったりも出来るスペースがあった。
サンフランシスコにはそこまで印刷に特化した団体はなかったので、ニューヨークでの楽しみの一つだった。活版印刷は今でもアメリカではよく行われており、友人の中にも活版印刷機を持っている人もいた。
子どもの誕生日会や結婚式、個展の案内状を活版を使って印刷していたし、活版印刷で制作した作品や、活字や凸版の版画を使ったアートが流行っていた。
エッチングは凹版印刷なので、手間のかかり方が全然違う。凸版は気軽に出来ていいな、と思っていた。
だけど、日本語となると話は別である。
何十万もある漢字の活字をどう扱っていたのか興味があった。
活版印刷工房ツアーの集合時間に博物館へ向かった。
博物館の出口近くに工房があった。
見学者は全部で6人いた。
しおりに印刷をさせてもらった。
次に活字を置いている棚に案内された。
実際に使われていたものである。
音読の読み方でアイウエオ順、そして頻繁に使われていたものは「内字」そうでないものは「外字」に分けられている。
活字があまりにも多いため、フォントは2種類のみだそうである。
見つからない漢字はどうするか、と言う質問に「作ります。」と答えていた。
活字は鉛でできている。
印刷を終えた版の活字は元に戻すこともあるけれど、時間がかかりすぎる時は、溶かして作り直すこともあったそうである。
大きな文字になると、加工に時間とお金がかかるので、桜など硬い木を彫って制作していた。
その活字たちはとても美しく、見惚れてしまった。
ツアーの最後は実際に使われていた印刷機や、活字を作る機械の展示を見学した。
国鉄時代に切符の印刷につかわれていた印刷機は、今でもイベントの時に使用しているそうである。
何枚印刷したかわかるようにカウンターがついていた。
ツアーの後は博物館の常設展を観た。
凄まじい量の展示だった。
もう一つ美術館へ行こう、と思っていたが、情報量が多すぎて処理できないため止した。
またゆっくり訪れてみたい。