小さな勝手口のようなところから中へ入った。あまりの荘厳なる空間に息が止まりそうになり、そしてそれに包み込まれるような感覚に変わった。奥に向かって歩いているうちに涙が溢れて来た。ここにいる事が出来て本当に幸せだと思った。
メトロが前線遅い運転をしており、朝早めにアパートメントを出たにもかかわらず、アトリエに到着したのは９時を過ぎていた。瑞麗さんを置いてすぐにメトロへ向かった。もうTGV（フランス国営高速鉄道）の時間に間に合わないかもしれない、と泣きそうになりながら、予約番号を手の甲に書いた。
私の乗ったメトロはモンパルナス駅に２０分前に着いた。すぐにチケット発券所へ行き、手の甲を見せながらクレジットカードを渡した。そのままプラットホームへ走り、発車までぎりぎり間に合った。
