瑞麗さんのマンションへ行った時、ハサミを借りた。
まだ中学生の時、100円ストアで購入したもので、でも切れは結構良かった。
「ハサミ 借して。」
と言うと、通学用のリュックサックから筆箱を取り出し、そのまま渡された。
取り出すと、持ち手のところが壊れていた。
落として割れてしまったらしい。
持ち手はどうしたか、訊ねたら、無くしてしまってもうない、とのことだった。
そのままで使えるから、と言われ、使ったけれど親指が痛かった。
ハサミが使いにくいことは、瑞麗さんにとって重要なことではないので、このまま本体が分解されるまで、ずっと使い続けるのだろう。
私の紙切りはさみは30年以上使っている。ニューヨークに遊びに行った時、セールで35ドルで購入した。
死ぬまで使えるだろう。
私が使っている道具はそれなりに丈夫である。
2ヶ月前からturkのフライパンを使い始めた。
ネットでドイツから海を渡ってきた直輸入版を見つけ、購入したのだけど、下ろす手順が億劫で、一年以上コンロの上部に掛けっぱなしで放っていた。
仕事を辞めてから、することリストにturkのフライパンを使い始める、と載せておいた。
テフロンのフライパンが使えなくなり、観念せざるを得なかった。
東京に行った時に購入した金属たわしとクレンザーで磨き始めた。
ドイツからの直輸入のフライパンだったせいか、表面に凹凸が激しく残っていた。
2時間近く磨いてやり切った気持ちになり、次のステップに移ることにした。
米油をたっぷりと注ぎ、熱してから、じゃがいもの皮と塩を入れてこんがりするまで火をいれた。
作業が終わった後、よく見たらなんとなく、それらしくなっていた。
毎日のように使っているが、焦げ付かずに上手く使えている。
よく見るとやっぱり凹凸があるけれど、自分にはそれぐらいでいいような気がする。